物理世界の体験に没頭することで、自然とからだには緊張が入り始めます。
最近の歩行の意識は、大腿骨が胸骨から振られるように歩くということ。
そうして歩いていると、腰椎が横に振られる感じにもなるのだけども、先日、野球の練習をした翌日、腰のあたりが振られる感覚が感じにくかった。
そのことに気づき、違和感あるなと思いながら10分ほど歩くと、少しずつ、腰のあたりが振られる感覚がジワジワと出てきたのです。
きっと、自律神経や脳波の状態、筋肉疲労などが関係しているのだと思います。
そして、20分後。
自分の中でモードが切り替わったことを感じました。からだ全体が心地よく、歩いていることが楽しいという心地よい感覚。
立ち止まりたくないなと、ずっと動き続けていたいって感じになりました。
20分歩くと、自律神経はどう変化するのか
からだの中で何が起きているのか、、気になったので調べてみると、面白い研究をいくつかみつけることができました。
ここで少し気になって調べてみました。
すると、日本で行われた研究の中にも、今回の体験と重なるものがいくつかありました。
まず興味深かったのが、
「20分ほど歩くことで、自律神経はどう変化するのか」
という研究です。
若い男性12名を対象に、森林の中と都市部で、それぞれ20分間歩いてもらい、
心拍数、
心拍変動、
血圧、
唾液中のコルチゾール
などを測定しています。
その結果、森林を歩いたときには都市部と比べて、心拍数が低くなり、副交感神経活動の指標が高くなるなど、
身体がよりリラックスする方向への変化が確認されています。
もちろん、
「20分歩けば副交感神経に切り替わる」
という話ではありません。
森林という環境の影響もありますし、身体の反応には個人差もあります。
ただ、
20分ほど歩いている間にも、自律神経の状態は変化している。
これは、今朝の体験を考える上でとても興味深い結果でした。
研究:
「森林浴が生理反応へ与える影響」
https://doi.org/10.11227/seikisho.44.105
同じ15分を歩いても、身体の反応は違う
もう一つ、日本全国57か所の森林と都市で行われた大規模な研究があります。
対象は485名。
それぞれ約15分間歩いてもらい、心拍変動から自律神経活動を調べています。
森林を歩いたときには都市部と比べて、
副交感神経活動が高く、交感神経活動が低い傾向が確認されました。
ただし、ここがおもしろいところです。
全員が同じ反応をしたわけではありません。
副交感神経活動が高くなった人もいれば、そうではない人もいました。
身体は、
「これをすれば必ずこうなる」
というほど単純ではない。
同じ15分を歩いても、人によって反応が違う。
当たり前と言えば当たり前ですが、面白いですよね。
研究:
「Forest Walking Affects Autonomic Nervous Activity」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30327762/
運動すると、脳の状態も変わる
さらに、
歩いているときの「脳の状態」についても気になりました。
北海道大学医学部の研究では、健康な男性を対象に、強度を変えながら約20分間運動してもらい、
脳波と心拍変動を測定しています。
すると、
運動の強度によって、脳波の状態も、自律神経の反応も、変わることが確認されています。
つまり、
「20分運動したから、脳がこの状態になる」
という単純なものではないようです。
どのくらいの強度で動いているのか。
どれくらい疲れているのか。
そのとき身体がどんな状態なのか。
そういった条件によって、脳も自律神経も違った反応をしている。
研究:
「Effects of the exercise intensities standardized by anaerobic threshold on EEG and heart rate variability」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9828921/
20分の中で、身体のモードが変わっていく
野球をした翌日。
いつも感じている腰の揺れが、感じにくくなっていた。
そこから、
何かを無理に動かすわけでもなく、力を抜きながら歩いてみた。
10分くらい経つと、腰のあたりが少しずつ振られる感じが戻ってきた。
さらに歩いて、
20分くらい経ったころ、からだ全体が心地よくなった。
歩いていることそのものが楽しい。
立ち止まりたくない。
もちろん、
その瞬間に私の副交感神経がどうなっていたのか。
脳波がどう変わっていたのか。
実際に測定したわけではありません。
ただ、
日本の研究を見ても、15分、20分という時間の中で、自律神経の状態は変化する。
脳の活動も変化する。
そして、その変化は、環境や運動の強度、その人の身体の状態によっても違う。
歩いている20分の中で、少しずつ別の状態へ移っていったのかもしれません。
身体は、ずっと同じ状態にはない
「20分歩くと身体が整う」
ということを言いたいわけではありません。
身体は、ずっと同じ状態にはない、1分1秒、この瞬間に変化しているということ。
昨日感じられていたものが、今日は感じられない。
さっきまでできていたことが、急に分からなくなる。
そんなことがあります。
そこで、
「できなくなった」
「身体が悪くなった」
と判断してしまうこともできます。
でも、
能力がなくなったのではなく、その瞬間、身体が違うモードにいるだけなのかもしれません。
少し待つ。
歩いてみる。
力を抜いてみる。
そして、
何かを変えようとする前に、今の身体を感じてみる。
すると、
じわじわと、
さっきまで感じられなかったものが戻ってくることがあります。
身体は固定されたものではなく、刻々と状態を変えている。
だから、
「今できるか、できないか」だけで身体を判断するのは、少しもったいない気がします。
20分ほど身体の変化を眺めながら歩いているだけでも、興味深いからだの発見を見つけられるかもしれません。

